[レポート] カスタマーエンゲージメントの未来〜消費者が求めている顧客体験〜 #BrazeForge22
はじめに
本記事は2022年7月12日に開催されたBraze FORGE Japan 2022のオープニング・セッション「カスタマーエンゲージメントの未来〜消費者が求めている顧客体験〜」のレポートです。
メインスピーカーはBraze株式会社 代表取締役社長 菊地 真之さん、ゲストは株式会社デジタルシフトウェーブ 代表取締役社長の鈴木 康弘さん。
レポート
菊地さん登場
Forge Japanは初の開催。朝早くからご参加頂きありがとうございます。
Forge Japanの参加企業は450社以上、イベント登録人数は700人以上。
本日のイベントで伝えたいのは体験と発見。
Brazeはマーケティングプラットフォームを提供しているが、そのプラットフォームを体験して欲しい。
体験→マーケター自身が、消費者の視点で、リアルタイムマーケティングを体感して欲しい。
体験を通じてBrazeを深く理解してもらえると思う。
体験と合わせて、新しいカスタマーエンゲージメントの創造に挑戦している企業の話を聞いて頂きたい。
Brazeについて
Brazeはカスタマーエンゲージメントプラットフォームを提供する企業。
今から11年前にビル・マグヌソンとジョン・ハイマンが創業。
現在は世界で1500社以上、月間370億MAUの巨大プラットフォームに成長した。
世界各国のB2C企業で使って頂いている。
どの企業も、お客様を理解して、新しい体験を提供することを重点に置いている。
2011年創業時代はPV至上主義。
デジタルマーケティングはユーザー獲得にフォーカスされていた。
機械的で一方通行のメッセージが送信されるため、ユーザーと企業が中長期的な関係を築くのが難しかった。
Brazeが目指してきたのは、ブランドと消費者の心触れ合うつながりをどう作っていくのか。
一回の購買では終わらない、中長期的な関係性の構築。
これをBrazeはHuman Connectionの実現と読んでいる。
一方通行ではなく、双方向のコミュニケーションが大事。
3rdパーティcookieではなく1stパーティデータを利用、
画一的なメッセージではなく、1人1人に合わせたパーソナライズされたメッセージを送ることが重要。
これらを組み合わせることでHuman Connectionを実現する。
消費者の考えや行動はあっという間に上書きされている。
だからこそ、リアルタイムエンゲージメントが必要になる。
消費者の考え、行動、関心をリアルタイムに把握し、エンゲージメントしていく。
Brazeのリアルタイムは1.1秒。
Brazeはオムニチャネルから得た消費者の行動をリアルタイムに把握し、エンゲージメントすることが出来る。
リアルタイムの重要性は社会構造の変化においても重要になってきている。
消費者を捉えるために、企業は差別化された世界観と体験を提供することを模索し始めている。
店舗の体験をオンラインに反映させる必要がある。
Brazeは日本において1年半で40社以上に導入され、B2C企業に活用して頂いている。
鈴木さん登場
なぜ日本ではDXが進まないのか、という話をしたい。
DX = Digital + Transformation。
カスタマーエンゲージメントという言葉がよく使われるようになったが、日本ではなかなか定着しない。
日本ではDXがただのデジタル化に捉えられているが、本当はデジタルを活用した変革のこと。
日本の経済成長について。
高度成長期は大量生産の時代。
安定期〜バブル期は高付加価値の時代。
バブル崩壊でコストカットが重要視され、ネット創世期にネットファースト、ネット普及期にスマホファーストと言われていた。
そして今言われているのがDX。
コロナの影響。
パンデミックにより、現業の限界を感じ、変革が必要となり、DXが加速した。
DXは将来どうなっていくのか。
2020年代、ハイブリッドワーキングが始まっている。コロナにより急激に進んだ。
2020年代中盤から、生産性向上の取り組みが加速すると考えている。
日本の人口減により労働人口が減少すること、システムの老朽化(2025年の壁)があること。
デジタルを活用した生産性の向上が加速する。
2030年代、優秀人材の定義が変わる。
デジタル人材(STEM教育を受けた10代)の社会進出に合わせて、変革が出来る人材(X人材)のニーズが高まる。
2035年には超スマート社会が実現されるだろう。
縦割りの業界の壁がなくなる。
お客様とのエンゲージメントの考え方が大きく変わる。
現状の日本のDXは迷走している。
2020年の世界デジタル競争力ランキングにおいて、日本は27位。
2021年には28位にランクダウン。
日本企業のデジタル競争力は落ち続け、更に失う可能性が高い。
DXの取り組みの現状。
アンケートでは、約7割の大企業が既にDXに取り組んでいると回答。
しかし、DXとデジタル化の違いを説明できない人が7割。
DXをわからない人がDXを推進している。
DXバブルみたいな状況になってしまっている。
DXが暗礁に乗り上げる5つのケース。
経営者は掛け声ばかりで、何をやるのかが不明確。
ノウハウ不足。
マーケ部門が盛り上がるが、ネット販促と分析しかしない。
システム部門が主体でやって、ツールばかり増えていく。
大手コンサル/SIに丸投げした結果、社内はしらけてお金も続かずに自然消滅。
なぜ日本企業のDXは暗礁に乗り上げるのか。
DXを自分ごととして捉えず、他人任せにしてしまい、企業変革が全く進んでいないから。
ツールだけ入れても成功しない。
DXを成功に導くアプローチ。
重要なのは人。
経営者がちゃんと意識を変えて、決意する。
デジタル推進体制を構築する。
顧客と未来を見て業務を改革する。
その上で、ITを導入し、定着させる。
経営者の意識改革。
トップが自ら率先してやらないとダメ。毅然とした態度で、諦めずに続ける必要がある。
経営者は事業方針、資金配分、人材配置の権限をもっている。
この3つの権限をフルに発揮しないとDXは上手く行かない。
経営者の意を組んで推進するデジタル体制を構築する。
ITを分かる人だけ、マーケティングが分かる人だけ集めてもダメ。
変革できる人、推進できる人を集める。
デジタル変革は、業務改善ではなく業務改革。
リペアではなくイノベーション。
過去の延長線上ではなく、未来に向かって業務を作り直す。
自社でITをコントロールする。
システム構築の思考を180度転換させる必要がある。
今までは企業毎に独自の思考でスクラッチ開発。
これだとスピードが出ない。
これからはシステムプロデュース。
クラウドを利用、クラウドに合わせて自社の仕事を変えることも必要。
つくるのではなく使うという発想転換。
変革を定着させる。
変革は変えることもより定着させるほうが圧倒的に難しい。
外部ではなく内部が主体となる。
必ず抵抗者は出てくるので、諦めず適切に対処していく。
変革を伴うDXに取り組む企業こそ成長する。
単なるツールを入れるだけなら失敗する。
菊地さんから鈴木さんに質問
経営者が承認しやすいDXの提案の形は?(菊地さん)
多くの経営者はDXをやるかやらないかを悩んでいる。
中間管理職に相談したらダメ、なぜなら反対することが多いから。
経営者は特に若い人に話を聞いたほうが良い。
とはいっても社内の若い人はなかなか話しづらい。
外部の人と話したり、外部の情報を積極的に得ると良い(鈴木さん)
カスタマーエンゲージメントを考える人にアドバイスを(菊地さん)
経営層と会話するときには数字をセットにして伝えると良い(鈴木さん)
さいごに
鈴木さんのお話は、最近DXの問題点として挙げられることが簡潔にまとまっており、とても興味深く拝聴しました!